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「ロオジエ」と「タイユバン・ロブション」―グランメゾンのお話
今、東京の(=日本の)グランメゾンの双璧ともいえる「ロオジエ」と「タイユバン・ロブション」。
一年半ほど前になりますが、この二軒を立て続けに訪れてみました。お財布によほどゆとりのある人は別として、私達庶民がそうそう行けるお店ではないので、清水の舞台から飛び下りる際の参考になればと思います。
実は、雑誌の記事や写真から想像するに、インテリアの違い等はあれど、まあ雰囲気もお料理もわりと似たようなものかなと思っていました。ところが蓋を開けてビックリ。全く異質のレストランでした。
タイユバンは、そのお城のような外観のイメージそのままの、きらびやかでゴージャスなダイニング。たまたま隣のテーブルにいらした浅丘ルリ子さんがまたその雰囲気にホントよくお似合いでうっとりしちゃいました。そして、最上級という言葉がぴったりの、非の打ち所のないサービスも、流石!という感じ。
お料理の方はというと、その日は25,000円の10周年記念の特別コースをいただきました。アラカルトにしようかさんざん迷ったのですが、初めてだから品数を欲張りたい気持ちもありましたし、それなりに興味をそそられるメニューだったので、それに決めました。前菜はラングスティーヌのマリネ、お魚は甘鯛をウロコ付きでカリッとスパイシーに焼いたもの、メインの前に、フォアグラとマツタケの網焼き、そしてメインは仔羊のロースト。付け合わせがシェーブルチーズと茄子のグラタンっぽいもの&マッシュポテト。その後チーズとデサートのワゴンサービスへと続きます。
・・・と書くと、なんだか普通っぽいけど、細かいところが凝りに凝っていて、私の舌では難解な程。ただ、感動する料理だったかというと、残念ながらそうでもありませんでした。好みの問題なのか、やはりどうしても無難になりがちなコースにしてしまっただったせいか判りませんが…。勿論、満足はしましたよ。二人で7万(これでも私はワインが飲めないのでかなり安上がり?)払っても、失敗したとも損したとも思いません。でも、やっぱりカルトで頼めばよかったかな、とちょっぴり心残りでした。
さて、その翌月、念願のロオジエでBirthday dinner! コースメニューにはないスープがどうしても食べたかったこととタイユバンの反省(?)もあって、その日はアラカルトで注文しました。カルトだと、前菜、スープ、お魚、お肉と全部はとても無理なので、お魚はぐっと我慢して、3皿の構成でお願いしました。でも、二人で全て違うものを選んだので、結果的には6種類いただくことができました。 >^_^<
さて、前菜は、家人は生牡蠣のゼリー寄せ、私はグルヌイユ(蛙)のポワレにグリーンピースのリゾットが添えられたものをオーダー。いや〜まずこの段階で既にノックアウトされちゃいました。
ほのかなカレー風味の牡蠣もさることながら、蛙の方もそれまでに食べたことがある身の痩せたそれとは二味くらい違う美味しさで、何よりリゾットも、そこらのイタリアンより断然深い味わい。どちらも相当な量でしたが、もっと食べたい欲求に駆られながら、いざスープへ。
クリーム系、ポタージュ系の大好きな私にとって、ロオジエのスープメニューは本当にそそられます。この日にオーダーしたのは、オマールとシャンピニオンの冷製クリームスープと、トリュフの香りにつつまれたマロンのスープ。オマールのスープは想像通り(いや、想像を超えていましたが)の美味しさでしたし、マロンの方はスープというよりピューレに近いもので、程よい栗の甘さの中にトリュフの香りが入り混じり、馥郁たるスープとでも言いましょうか、かつて経験したことのないものでした。
そしてメイン。その頃フレンチに行くと鴨とか鳩とか鶉とか(要は鳥系)をよく食べていたことと、たまには煮込みもいいかな、ということで私は兎肉の赤ワイン煮にしました。ところが、メニューの説明を受けていると、「ここには載っていないのですが、猪の煮込みもオススメですよ」との話。「うーん、それも美味しそう!ダブっちゃうけどいいよね…」と言いながら、家人は猪をオーダー。どちらもさすが、ビストロとは違う、グランメゾンならではの洗練された煮込み料理でした。付け合わせのニョッキも美味しかったし! しかしお腹の容量も限界に近付き、最後の方は猪の脂っぽさが気になってきてしまった。。。おなかぺこぺこの時だったら10倍美味しいだろうに・・・。
なんて考えながらも、チーズとデザートのワゴンサービスも目一杯堪能。これもね、実を言うとタイユバンも同じ形式だったのですが、個人的にはロオジエに軍配を上げてしまいます。チーズなんて、料理する訳じゃないし、お料理の美味しいお店が美味しいとは限らない筈なのに、やっぱりとても美味しかったのです。
その日特に印象に残ったものは、時期的にも最も良かったのかモンドールがとても素晴らしく、ミモレットも今までで一番美味しいと思いました。
デザートも、オーソドックスなオペラやソルベの非の打ち所のない味には本当に脱帽という感じでした。
そんなこんなで、断然「ロオジエ」が私のお気に入りになってしまったのですが、ただ、タイユバンではコース料理でしたので、再訪して、カルトで食べてみてから判断しないといけないなあという気もしています。
とにかく旨いフレンチを食べたいのなら「ロオジエ」、優雅な気分を味わいたいなら「タイユバン・ロブション」という感じでしょうか。
それにしても・・・、余談ですが、あの夢のようなひとときが、一瞬にして悪夢に変わった話を聞いて下さいますか?
家人に飲酒運転をさせる訳にはいかないので、私がハンドルを握り、サービスの方に見送られて、さながら雅子さまのような笑顔で挨拶をし、並木通りのイルミネーションの中を走り抜けようとした瞬間、助手席で物凄いことが・・・! あの、猪やらブルーチーズやら牡蠣やらの素晴らしい“匂い”が“臭い”に変わった一瞬でした。
嗚呼、それでも、ロオジエのエントランスで吐かれなくてよかった・・・。恥ずかしくてもう二度と行けなくなってしまうことと比べたら、車のシートとスーツの○○まみれの方が遥かにマシだと自分に言い聞かせたのでした。
家に着いてまずスーツとネクタイの洗濯を始めた私は、お城から戻ったシンデレラの気分でした(時間もちょうど零時頃だったし…)。
こうして、生涯忘れることのできない、最高にして最悪の誕生日は、幕を閉じたのでした。
「ロオジエ」〔銀座〕03-3571-6050
「タイユバン・ロブション」〔恵比寿〕03-5424-1338 |
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