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| 「龍土軒」と「ル・ブルギニオン」 フレンチにおいては勿論、あらゆるジャンルの中でも特にお気に入りで、最も多く訪れているのがこの「龍土軒」と「ル・ブルギニオン」です。とはいえ、ある意味、対極にある二軒と言えるかも知れません。 「龍土軒」は、数年前に100周年を迎えた老舗中の老舗で、四代目の岡野利男シェフが一人で腕をふるい、気さくなマダムがフロアを取り仕切っている、こぢんまりとしたお店です。龍土町(現六本木)にあったことからこの名が付き、かつては文学者のサロンとして使われていたこともあったという、なんとも歴史とロマンを感じさせるレストランです。私も既に15年以上通い続けていて、まだ先代(三代目店主)がフロアでサービスを仕切っていた頃が懐かしく思い出されます。 お料理の方は、今では珍しいとも言えるクラシカルなフレンチがいただけます。奇を衒わないメニュー、必然性のあるつけ合わせ等、鴨のコンフィやブイヤベースをいただくと、シェフの素晴らしさが本当によく判ります。特に私が好きなのが、夏期の定番メニューである『カリフラワーのクリームとコンソメのジュレ』と『アーモンドアイスのチョコレートソースがけ』です。いままでたくさんの人を連れていっては、この二品を食べてもらいましたが、皆、口を揃えて「シアワセ〜」と言ってくれます。誰かと美味しさを共感できるということは、私には一番嬉しいことです。 ただ、今どきのレストランとは一線を画しているというか、目新しいものや、きらびやかなフレンチの世界をイメージして出かけると、「あれ?」と思ってしまうかも知れません。お客さんも殆どが常連で、いつ訪れても、私達の貸し切り状態か、もう一組、老夫婦や家族連れが居るくらいです。メニューも決して豊富ではありませんし、あまりにシンプルな内容に驚くかも知れません。小さなお店なので、最近はチーズの取扱いもやめてしまっていますし、シャンパンをグラスで注文することもできないと思った方がよいです。 然し、そんな多くの欠点を総て払拭してしまうくらい、素晴らしいレストランだと私は思います。お喋り好きのシェフとマダムと食後の歓談をしていると、つい時間を忘れ、日付けが変わっていることも珍しくありません。レストランとは、ただ食事をする為だけにあるのではなく、楽しい時間を過ごす為の場所。「龍土軒」は、そんな素敵な時間が過ごせるレストランという意味でも素晴らしいと思っています。そして、フランス料理の本質を味わうのに最適な一軒だと思います。 一方「ル・ブルギニオン」は、今や押しも押されぬ日本のフレンチ界を代表する一人とも言える菊地美升シェフのお店。 菊地クンは、もともと“友達の友達”ということで、まだ彼が表参道の「アンフォール」でシェフをしていた頃、お店の近くで飲んだのが出合いでした。その後、早速お店に出向いたところ、「この人の、細やかながらもストレートにズシッと伝わってくる料理は私好みだワ!」という第一印象を持ちました。以来、「フレンチが食いたい〜っ!!」という気分になると、ついつい足を運んでしまうようになりました。そして、独立して早3年、引っ切り無しの雑誌の取材も影響してか、相変わらず連日満席の人気店ですが、決して驕ること無く、常に探究心を持ち、いつもいつも一生懸命に料理を作ってくれる菊地クンは、本当に素敵なシェフです(そしてクマさんのような笑顔も素敵!)。お得意の内臓料理や冬のジビエは言うまでもなく、最近は魚料理にも彼らしさが感じられるようになりました。菊地クン自身も食べることが大好きで、お客様にも楽しんでもらいたいという気持ちが、一つ一つのお皿に明確に現れています。また、ギャルソンやソムリエールの方々も、とてもきちんとしていながら堅苦しくなく、快く相談に乗ってくれるので、分らないことはついつい何でも訊いてしまいますし我が儘も言ってしまいます(いつもすみません…)。 メニューのお気に入りを幾つか挙げると『ウナギとフォアグラのテリーヌ』や、師匠の五十嵐さんのスぺシャリテでもある『人参とウニのムース』は、いつでも食べたいと思う飽きない美味しさ。あと、デザートの『カラメルのアイス』はかなり苦味が効いていて超私好み(自分で作るカラメルアイスより美味しいと思えるのはココのだけ!)。最近は変わったチーズも各種揃えていて、最近一番のお気に入りはスペインのブルーチーズ(いつも名前を聞くんだけど忘れちゃいます…)。細かい青かびがびっしり入っていて、かなりぴりっとした味が、フルムダンベールのまろやかさとはまた違うブルーチーズの強さを感じます。 いずれにせよ、ブルギニオンは、いつ行っても何を食べても安心して楽しめる“ハズさないフレンチ”と言えるでしょう。 さて、ついつい熱が籠ってしまい話が長くなりました。。。 どちらもずっとずっと通い続けたい、とっておきのレストランですが、強いて私の使い方の違いを挙げるなら、「龍土軒」は、好きな人と美味しいものを囲んでのんびり自分の時間を楽しみたい時に、「ブルギニオン」は、大切な人に喜んでもらえるよう美味しいものでもてなす時に使っています。 ※「龍土軒」の歴史について興味をお持ちの方は、「龍土軒史」(講談社出版サービスセンター発行)を参考されたし。 ※「龍土軒」の“土”の字には、本当はメニューページの写真キャプションにあるように“、”がつきます。 龍土軒〔西麻布〕03-3408-5839 ル・ブルギニオン〔西麻布〕03-5772-6244 |
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